SEO対策 CVR(コンバージョン率)とは?意味・計算方法、測定方法について解説

「CVR」の意味や改善方法を知っていますか?CVRの定義から、用法、計算方法、上げる方法を解説します。CVRの測定をサイト改善を活かしたい方は必見です。
CVRの意味は?
「CVR」は、Conversion Rate(コンバージョン・レイト)の略称であり、コンバージョン率や顧客転換率のことです。
CVRとは、ユーザーのサイトへの訪問数に対して、コンバージョン数(Webサイトにおける目標に到達した数)の割合を示す指標です。CVRはどの数値を母数やコンバージョンとして定義するかにより数値が変化します。また、商材やサービスによって目指すべきCVRは異なります。
たとえば、通販サイトとサービスサイトでは、コンバージョンは以下の通りです。
サイトの種類 | コンバージョンの定義 | CVR |
ECサイト | 商品の購入 | ECサイトにアクセスしたユーザーの内、購入したユーザー数の割合 |
サービスサイト | 問い合わせフォームの送信 | サービスサイトにアクセスしたユーザーの内、問い合わせフォームを送信したユーザー数の割合 |
CVRが使われるシーン
CVRはどの媒体でも通用する表現ですが、特にWebサイトのパフォーマンスを話すときに利用されることが多いです。
会話の中でCVRは以下のような使われ方をします。
「このページ、デザイン変えてみたんだけどCVRってどう変わった?」
「広告費を増やしてもアクセスはこれ以上伸びないので、CVRを改善して売上を上げましょう」
「CVRは高いけど、そもそもアクセス数が少ないから良し悪しの判断できないよね」
CVRとCTRの違い
アルファベットの並びが近いので、よく混同される単語としてCTRがあります。
CTRとは、「Click Through Rate(クリック率)」を指します。特定のページ(WEBページや検索結果)が表示された数のうち、特定の場所がクリックされた回数を割合で示す指標です。
たとえば、「CVR」と検索するユーザーが100人いて、1位のサイトをクリックした人数が15人の場合は、CTR15%となります。
CTRについての詳細記事はこちらをご覧ください。
CVRを算出する目的
CVRを算出する目的はWebサイトのパフォーマンスを測定し、Webサイトの運用や改善についてのヒントを知ることです。
Webサイトのコンバージョンは商品の購入やサービスの申し込み、問い合わせや資料請求、会員登録などです。CVRを把握すると、Webサイトのどのページを改善すればよいかがわかります。
例として、広告を出した際にコンバージョンに繋がりにくい場合は、ページや広告ごとにCTRやCVRを見ていく事で、広告の出し方を変えるべきか、ページの内容を変えるべきか、などの判断ができるようになります。
CVRの計算方法
CVRは、下記の計算式で算出します。
「CVR=コンバージョン数÷訪問者数」
上記の計算式を適用すると、以下のような計算になります。
施策 | セッション数(訪問者数) | コンバージョン数 | コンバージョン率 |
施策A | 1,000 | 15 | 1.5% |
施策B | 600 | 12 | 2% |
一見すると単純計算に見えます。
しかし、きちんと運用に活かしたい場合は、「コンバージョン数」(分子)と「セッション数」(分母)の定義を明確にする必要があります。
コンバージョン数(分子)の定義
コンバージョン数には、おおまかにわけて2つの種類があります。
(1)すべてのコンバージョン数
1人のユーザーが、商品Aと商品Bを購入した場合、2つの商品を購入しているため、購入のアクションは2回とカウントします。
(2)コンバージョン数
1人のユーザーが商品を2回購入しても、購入のアクションは1回とカウントされます。これは、商品を購入したのが、同一ユーザーだからです。
上記はGoogleやYahooの広告運用でよく出てくる表現です。もっとかみ砕いて説明します。
Web担当者が「一定期間で1人のユーザーが10商品を購入したので、コンバージョン数は10です」と報告します。
これが(1)「すべてのコンバージョン数」での考え方です。
しかし、上記のように「1人のユーザーがお問い合わせを10件したので、コンバージョン数は10です!」と報告しても、一般的に「1人の見込み客を獲得したのだからコンバージョン数は1」という解釈の方が自然な場合があります。
この場合、見るべき指標は(2)「コンバージョン数」です。
両者の違いは、CVRをアクション単位で算出するのか、CVRをユーザー単位で算出するのか、という定義の違いです。どちらを指標に選択するかでCVRの数値が変わるため、CVRの計算は、「算出したい内容に合わせて、分子と分母の単位を揃える」必要があります。
この点があいまいなままCVRを算出すると、Webサイトの運用について正しい評価ができないため注意しましょう。
尚、広告におけるコンバージョン数の詳細は以下を参照してください。
参考:コンバージョン数とすべてのコンバージョン数の違いを教えてください – Yahoo!プロモーション広告 ヘルプ
アクセス数(分母)の定義
Yahoo知恵袋の質問がわかりやすかったので以下に引用します。
質問
Yahoo知恵袋(一部編集)
「無印良品のタイムセールをtwitterで行いました。
15,000人のフォロワーのうち、アクセス数が6,431回で、商品購入した人数が600名でした。
この場合、600÷6431=9.3%がCVRですよね?ニュース記事はなぜ4%になっているんでしょうか?」
この質問に対するベストアンサーは、
回答
Yahoo知恵袋
「フォロワーに対してのコンバージョン数を算出しているため、600÷15000=4%です」
という内容でした。
どちらが正しい、というわけではありませんが、実際の運用上では質問者のように細かく分解した方が、分析の精度はあがります。
「フォロワーのうち4%が購入した」という内容では、
「フォロワーのうち、キャンペーンを知ってWebサイトにアクセスした人数」
「アクセスした人数が購入した割合」
の2つの要素が含まれています。
要素が複数ある場合、次の販促活動に反省を生かしづらい事があります。
目標アクセス数が5000人、コンバージョン率が10%だとしたら、アクセス数(広告の出し方)は成功、コンバージョン率(ページデザインや商品)はもっと工夫ができた。
CVRの平均値
CVRの平均値は提供するサービスや商材・ビジネスモデル・Webサイトにおける目標によって変化します。
例えば、ニッチな商品のみを販売するECサイトと、あらゆる商品を広い範囲で網羅しているECサイトでは、前者のサイトを訪問するユーザーの方が明確な目的をもっているためCVRは高くなる傾向にあります。
また、コンバージョンが「お問い合わせ」と設定されている場合と、「購入」と設定されている場合では、前者のほうが後者よりも目標のハードルが低いため、CVRは高くなる傾向にあります。
このようにCVRの平均値はサービスや商材・ビジネスモデル・コンバージョンによって変化しますが、いずれにせよ、Webサイトを運営しながら改善を重ねていくには、該当する業界のCVRの平均値を知り、自社サイトがどのあたりに位置しているのかを把握する必要があります。
MarketingSherpaの調査結果によれば、ECサイトのCVRの平均値は3%、コンバージョンが複数設定されているコンサルティング・ファイナンスサービスなどの業界ではCVRの平均値が10%に達しているとしています。
コンサルティング・ファイナンスサービス:10%
Marketing Research Chart: Average website conversion rates, by industry
メディア・出版:10%
その他:8%
教育・医療:8%
ソフトウェア・クラウド:7%
技術機器・ハードウェア:5%
製造業・生産財:4%
旅行・サービス業:4%
小売・EC:3%
非営利団体:2%
CVRの平均値の考え方
CVRの平均値の目安を考えるにはまず、対象となる検索キーワードを「一般キーワード」と「指名キーワード」で分けて考える必要があります。
指名キーワードは、商品名や企業名・サービス名などの固有名詞が入っているキーワードを指します。
指名キーワードで検索するユーザーは、商品やサービスをすでに知っていて、もっと詳しい情報が知りたい、あるいは、購入したいといった目的で検索をしています。
コンバージョンが無料または有料か、競合の状況などによって変化しますが、指名キーワードのCVRの平均値は10%以上を目標に施策を行います。
一般キーワードは、ダイエット・ニキビ・脱毛など、商品名やサービス名以外のキーワードを指します。
一般キーワードで検索するユーザーは、商品やサービスをまだ知らず、キーワードに関連した商品の情報を収集している段階、あるいは商品を比較検討している段階にあります。
ダイエットやニキビなど、広義な一般キーワードで検索している場合は、情報収集をしている段階にあるため、CVRの平均値は低く1%程度です。一方、ダイエット サプリ、ニキビ 予防などの一般キーワードで検索している場合は、商品の比較や検討段階にあると考えられるため、CVRの平均値はやや上がり、2%以上を目標に施策を行います。
CVRの測定の仕方
コンバージョンを測定するには、Googleアナリティクスなどの分析ツールを用います。
様々なコンバージョンの測定方法がありますが、サンクスページを設けるのが最も手軽です。
サンクスページとは、ユーザーが商品の購入や会員登録などのコンバージョンを完了したときに表示されるページです。「購入完了画面」「会員登録完了画面」として表示されるページを指します。
サンクスページにGoogleアナリティクスなどで情報を取得するタグを埋め込むことで、コンバージョン数とコンバージョンするまでに経由したページの把握ができます。
Googleアナリティクスの登録方法を知りたい方はこちら
→【Googleアナリティクス】導入時の設定方法について

CVRを上げる方法
測定したCVRの値を参考に、商材やターゲットに合った施策を実施してCVRを向上させます。
CVRの増減の理由を知り、対策方法を理解しましょう。
CVRが下がる理由
CVRは「アクセス数」と「コンバージョン数」で算出します。
アクセス数とは「ユーザーが広告や検索を通じて、特定のWEBサイトを見る」事で生じます。
コンバージョン数とは「アクセスしたサイトの内容が、自分の目的を達成できるものを提供していたときにユーザーが起こした積極的なアクションの数」を指します。
そのため、CVRが下がる要因は以下の3つです。
1. Webサイトが提供するコンテンツが、アクセスしたユーザーの目的や意図に沿っていない
2.Webサイトが提供するデザインが、ユーザーにとってわかりづらい・使いづらい
3.Webサイトが提供するサービスが、市場に合っていない
このうち、3は季節商材なのに時期がずれていたり、強力な競合サイトの存在など、様々な要因が考えられます。1と2に関してみていきましょう。
改善方法1:ページ改善で直帰率を減らす
直帰率とは、「アクセスしたユーザーが、そのままそのサイトから離れる割合」を指します。
ユーザーが検索した意図に沿っていないページにアクセスした場合、数秒で、離脱します。
また、単なる情報収集のためにアクセスした場合も情報を得たらサイトを離れるため、同様に直帰率が高い傾向があります。
明らかにパフォーマンスの低いランディングページは思い切って削除して、トラフィックの高いページに焦点を絞る施策なども時には必要です。
その判断を行うために、以下に着目します。
- このページを見に来るユーザーは「何を求めてここにきているか?」という訪問意図を推測します。
- その中でも購入や問い合わせに繋がりそうなターゲットを絞り込み、わかりやすく訴求します。
1つめの「意図」に沿っていないと思うページについては意図に沿うTitleに変更したり、広告出稿を見直しましょう。
2つめの「わかりやすく訴求する」ためには、以下を改善します。
- ファーストビューを改善する
- ユーザーが最も見たいものをページの上部に配置する
- 文字や画像を閲覧しやすくする
- ショッピングカートの位置などをわかりやすく配置する
6-2-1.ファーストビューを改善する
ファーストビューとは、ユーザーがWebサイトを訪問した際に、最初に目に入るページです。
ユーザーはそのページにとどまるかどうかを数秒の間に判断します。ファーストビューはその判断にダイレクトに影響する部分なので、訪問したユーザーにとって必要な情報を表示するようにします。

6-2-2.コンテンツを読みやすくする
ページビュー数は多い一方で、CVRが低いページは、コンテンツを読みやすく改善することでコンバージョンが増える可能性があります。
例えば、ユーザーが読みやすいコンテンツになるように、コンテンツ内容を段落ごとに分ける・随所に改行を加える・テキストだけでなく画像や表を有効に取り入れるといった工夫が効果的です。
6-2-3.カートやコンバージョンページをわかりやすくする
目的を達成するためのページやボタンがわかりやすい位置にないと、それが理由で離脱してしまう可能性が上がってしまいます。ユーザーがコンバージョンしやすい位置にページへのリンクやボタンを配置します。
6-2-4.入力フォームの項目を減らす
入力フォームの項目が多いとユーザーは面倒に感じて離脱します。
入力の手間を省くために、必要最低限の項目だけを残して出来るだけ簡潔なフォームとなるよう心がけます。
CVR改善方法2:サイト改善でユーザーが使いやすいサイトにする
1つのページでユーザーの意図や疑問が払拭されれば良いのですが、サービスや情報によっては網羅できない場合があります。
そのため、以下のことに着目します。
- ユーザーが抱える不安を解消するFAQを用意しているか
- FAQや問い合わせ窓口をわかりやすい箇所に配置しているか
- ユーザーが得たい情報をグローバルナビやレフトナビなどですぐにアクセスできるように配置しているか
- サイトやページの表示速度はストレスにならないか
- その他、ユーザーの背中を押してあげる特典などの用意
6-3-1.ナビゲーションを設置する
検索キーワードと関連性のある魅力的なコンテンツがあっても、適切な動線が設定されていなければ、ユーザーが知りたい情報をすぐに見つけられず離脱する可能性があります。
離脱が多い場合は、ユーザー目線で検証をした上でサイト全体のレイアウトを改善させます。
例えば、ECサイトの場合は、サイト内のナビゲーション(フッターやサイドバー)に商品カテゴリなどを表示すると、ユーザーが求めている商品を見つけやすくなってWebサイト内の回遊率の強化につながります。

6-3-2.サブコンテンツの充実を図る
ナビゲーションの設置により適切な動線が確保されたら、コンバージョンにつながりやすいサブコンテンツの充実を図ります。
ECサイトの場合、商品ページには商品のイメージ写真・商品説明・価格など、ユーザーが求める傾向の高い情報を記載します。複数の商品を比較しやすいように、一貫性のあるレイアウトとなるようにページを制作します。
また、よくある質問集のページを用意すると、不安が解消され、購入につながりやすくなります。
6-3-3.ページの読み込み速度を改善する
ページの読み込み速度がWebサイトのコンバージョンに影響を与えます。
Googleが提供するPageSpeed Insightsを使うと、ページの読み込み速度のスコアや改善策が表示されます。改善策を参考にページの読み込み速度を改善すると、離脱率が下がり、ユーザーのセッション時間が増えます。

6-3-4.お得な情報を提供する
「会員限定のご優待情報」や「今ご注文いただいた方限定で特典プレゼント」など、ユーザーがよりお得に感じる情報を提供することでCVRが向上する可能性があります。
CVRが著しく低い場合の対処法
ページのセッションやPVに対しCVRが著しく低い場合は、「獲得しているセッションやPVがきちんとコンバージョンにつながるようなユーザーなのか?」をきちんと見極める必要があります。
Webサイトを訪れるユーザーと、コンバージョンにつながりやすいターゲットユーザー像がかけ離れていると、コンバージョンが遠く、期待する成果にはつながりません。狙ったキーワードで上位表示できていても、訪問ユーザーとの接点にずれが生じていれば、いくら時間をかけて対策をしても効果は低いです。大前提として、コンバージョンにつながりやすいターゲットユーザーを特定し、Webサイトやページを改善した方がCVRの向上につながります。
まとめ
- CVRとはコンバージョンレイトの略で、顧客転換率を指す
- CVRはWebサイトのパフォーマンスを測定し、改善の方針を決める重要な指標
- CVRの設定は安易にやらず、定義を明確にする
- CVRとCTRは違うが、関連性がある
- CVRの測定はGoogleアナリティクスがおすすめ
- CVRを上げる前にターゲットユーザーを見極める
- CVRはページ単位とサイト単位の2つで改善する
以上、CVRの意味やCVRを向上させるための施策ポイントについての解説でした。