SEO対策 GoogleのSEOとは?3つの評価方針と順位決定の仕組み

本記事ではSEOの土台であるGoogleについて理解を深めるために、Googleが考える未来やGoogleの方針、順位を決定する仕組みとなるGoogle検索アルゴリズムについて解説します。Googleの考え方を理解することでSEOで意識するべきことや、今後どういった施策が効果的なのかを知ることができます。
SEOで評価されるために知るべきGoogleが考える未来
まず具体的なSEOの話に入る前にGoogleが見ている世界について知る必要があります。もっと言えば、SEOを取りまくユーザー、Google、Webマスターの3者の関係を改めて認識しましょう。
以下は、SEMの概略図で、とても重要な図です。

本記事や関連記事を通読することでこの図の有用性を理解頂けると思います。
この図を念頭に置いて、読み進めてください。
【SEM概略図の説明】
まず、図の説明をします。おさえておくべき部分をまとめます。

Google
検索エンジンを指します。
※SERP(自然検索結果の表示ページ)
・リザルトブロック(SERP特有の機能です)
・自然検索(ウェブページ一覧を表示します)
・リスティング広告(SERPに広告を表示します)

トレンド
ユーザーやマーケットを指します。
三角形の図に関しては後述します。

メディア
サイト管理者・WEBサイトを指します。
詳細は後述します。
図上での登場人物はこの3者です。この3者の相互関係を意識してください。
Googleの使命
1998年にサービスを開始したGoogleは、様々な機能やサービスの開発、改良を続け、検索は大きな発展を遂げていますが、以下のようにGoogleの使命は今も当時も変わらず極めて明快です。
Googleの使命で示す通り、Googleが一番重要視しているのはユーザーです。Googleは、毎日変化するウェブとその利用方法に対応するため、常に検索の評価に変更を加えてます。その目的は『検索をユーザーにとって役に立つものにすること』です。
Google の使命は、世界の情報を整理して誰もが便利に利用できるようにすることにあります。
Google のアプローチ – Google 検索の仕組み

上図の「価値提供」とは「Googleの使命」によってユーザーが得られる便益を指します。
「ユーザーの価値提供」をすることが検索エンジンのベースの考え方です。当たり前だと思われるかもしれませんが、この視点を深堀しないWEBマスターが非常に多いのがSEO業界の現状です。
SEOで評価されるために知るべきGoogleの3つの方針
Googleの使命に基づいた検索に対する具体的な方針として、Googleは以下3つを掲げています。
① ユーザーを最優先する
② ウェブサイトの所有者をサポートする
③ 情報アクセスの機会を最大限確保する
上記の①と③はユーザーに対する方針です。図でいうと下図の部分です。

上記の②はサイト管理者に対する方針です。図でいうと下図の部分です。

ユーザーを最優先する
Google は、最も有用で関連性の高い情報を提供することを常に目指しています。Google が検索に変更を加えるのは、表示される検索結果の有用性を高めるためです。検索結果への掲載に対して謝礼を受け取ることは決してありません。
厳格なテスト – Google 検索の仕組み
Googleは、ユーザーを第一に考え、検索結果の利便性を高く、有益な情報を提供することを目指しています。その為にGoogleは、検索を利用する私たちユーザーのため、専門知識を持った評価者によるテストを多数実施し、その結果を公開しています。

繰り返しになりますが、この図の通り、「ユーザーを最優先」します。
ユーザーとは「検索エンジン」を利用する人を指しますが、Googleは各サービスを検索と紐づけて展開することがあるためGoogleがどのようなサービスを展開しているか?を把握しておきましょう。(下図参照)

では、Googleはどのようにして「ユーザーを最優先する」を実現していくのでしょうか?
日々のGoogle社員のアイデアから新しいサービスが生まれますが、世界規模で事業展開するGoogleでは「データを多く活用すること」で有名な企業です。
最も関連性と信頼性の高い情報をお届け
Google のアプローチ – Google 検索の仕組み
検索は毎日行われていますが、そのうち 15% は過去にはなかった内容です。そこで、見つけられる限り最も関連性と信頼性の高い情報を提供するために、自動化されたシステムを使用しています。これらのシステムは、お探しの情報を見つけるお手伝いをするために、さまざまな要因(検索クエリの単語、ページのコンテンツ、ソースの専門性、ユーザーの言語や位置情報など)を考慮しています。 結果の関連性と信頼性がユーザーに引き続き評価されているか判断するために、Google では、広範なテストと検索品質評価者(人間が期待する適切な結果を自動システムが生成できるか確認する人員)の活用による厳格なプロセスを設けています
【2018年の1年間でのテストと公開数】
検索品質評価によるテスト | 130,336 件 |
比較テスト | 18,015 件 |
ライブ トラフィック テスト | 9,800 件 |
公開 | 1,653 件 |
Googleが紹介している検索に対する変更案は、あらゆるテストから得られたデータについて、経験豊富なエンジニアや検索アナリストが一つ一つ検討し、判断します。すべての変更案が検索ランキングに影響することはありませんが、1日に平均して数回のアップデートを実行しています。
ここでの特筆事項は検索エンジンのアップデートは『「検索エンジンとウェブサイト」以外のことも含まれる』ということです。
後述しますが、Googleはユーザーの利便性を向上させるためにはウェブサイト以外の機能も必要だと考えています。その考えはリザルトブロックと呼ばれるSERP(検索結果ページ)特有の機能を持たせるなどに反映されます。
ウェブサイトの所有者をサポートする
オンラインで認知度を高めたいクリエイターや企業をサポート
クリエイター支援 – Google 検索の仕組み
Google は、検索で成功を収めて認知度を高めていただけるよう、ウェブサイトの所有者の支援に力を注いできました。そのために、規模の大小にかかわらずクリエイターや企業がウェブサイトのアクセス数を大幅に増やせるよう、一連のツールとリソースを無料で提供しています。

ウェブサイト運営者が運営しやすいように、検索で認知度を高められるように、Googleは以下のような様々なツールや情報を提供しています。
■ サポートドキュメント
・ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)
・検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
・ウェブマスター向けYouTubeチャンネル(1,000本を超す動画を視聴可)etc
■ エキスパートによるアドバイス
・ウェブマスターヘルプフォーラム
・オンラインオフィスアワー(15を超える言語でGoogleの社員による公開サポート)etc
■ 検索ツールとトラブルシューティング
・Search Consoleツール(サイトのパフォーマンスの管理・監視ができるツール)
・ウェブマスター向けトラブルシューティング(検索やサイトの問題への対処法)
・各種パフォーマンスチェックツール
(例:モバイルフレンドリーテスト・Lighthouse・PageSpeed Insight)etc
情報アクセスの機会を最大限確保する
Google は、情報には自由にアクセスできるべきだと考えています。人々が数多くのソースから多様なウェブページにアクセスできることで、社会が円滑に機能すると確信しています。非常に限られた場合を除き、Google が検索結果からウェブページを削除しないのはそのためです。
アクセス機会を最大限確保 – Google 検索の仕組み
■ ユーザーの安全を確保のために、削除される可能性のあるコンテンツ
・子どもの性的虐待に関する画像
・機密性の高い個人情報
・有効な法的リクエスト
・ウェブスパムや不正なソフトウェア
・ウェブマスターのリクエスト
・不適切なコンテンツ
・露骨な表現を含むコンテンツ

この項目は上図の「価値提供」の部分の「価値の減少を抑制する」ための方針です。
Googleの3つの方針を知ることで、検索エンジンの目指す方向性を知り、SEOに役立てましょう。
SEO対策の基本1:Googleが順位を決定する仕組み
Google検索は、入力された検索クエリに対し、ユーザーが知りたい情報や問題が解決されるような適切な情報を掲載するウェブページを検索結果に表示させます。
とはいえ、検索クエリに関連がありそうな情報が数百万件も存在した場合、検索結果に表示される情報は一体どのように発見されているのでしょうか。
検索結果に情報を表示するために、Googleは次のような仕組みで動いています。
① クロールとインデックス登録
② 検索アルゴリズム
③ 便利な検索サービス
上記3点は以下の部分(それぞれ番号が対応)が該当します。

これだけだとわかりづらいので、1つずつ詳述します。
クロールとインデックス登録をおこないページを認識
Google 検索における情報の整理方法
ユーザーが検索を実行すると、Google は検索インデックスに保存された数千億ものウェブページやその他のコンテンツを調べて有益な情報を探します。世界中の図書館をすべて合わせてもこの情報量には及びません。
情報の整理 – Google 検索の仕組み
クロールは、ウェブ上に存在するウェブページを認識するためのシステムです。Google検索のウェブクローラは、ウェブ上に存在する膨大な数のウェブページから情報を収集し、収集した情報は検索インデックスに保管しています。

しかし、クローラも「即時に完全に情報を収集」できるわけではないため、クロールし、インデックスする仕組みと促す方法として以下を示しています。
・クロールによる情報の検出
・インデックスによる情報の整理
クロールによる情報の検出
Googleは、次のような手法によって情報を検出し、収集します。
・xmlサイトマップのURLリストを読み取る
・ページ上のリンクを辿ってサイトを訪れる
この2つの手段によってクロールを行います。
またクロールは以下の性質があるために、1度のクロールで全て読み取らない場合があります。
クロールするサイト、クロールの頻度、各サイトから取得するページ数はコンピュータ プログラムによって決定されます。
Google 検索の仕組み | クロールとインデックス登録
この為、Googleでは、ウェブマスターがGoogleに対してクロール方法を指定できるように、ツールを提供しています。ツールを利用すると以下のことができます。
・再クロールをリクエスト
・robots.txtでクロールの動作をコントロール など
インデックスによる情報の整理
各ウェブページに含まれているすべての語が1つずつ追加されています。
情報の整理 – Google 検索の仕組み
クローラがURLを辿って他のウェブページを見つけると、Googleのシステムは新たにインデックスにその情報を登録します。
Googleのシステムは、数十億ものウェブサイトから情報を処理し、そのページに含まれるすべての情報をインデックスに登録します。
検索アルゴリズムをもちいて順位を決定する
結果を自動的に生成する仕組み
ランキング結果 – Google 検索の仕組み
世界には入手可能な情報が膨大に存在するため、情報分類のサポートがなければ必要な情報を見つけるのはほぼ不可能です。Google のランキング システムはそのために設計されています。検索インデックスに登録されている膨大な数のウェブページとその他のコンテンツを分類し、最も関連性の高い有用な結果を瞬時に提示します。
Googleのランキングシステムは、200以上にも及ぶとされる独自のアルゴリズムで構成されています。これらの検索アルゴリズムは、ユーザーが求めている情報と返すべき情報を様々な要因を基に分析し、順位を決定して検索結果に瞬時に表示しています。
検索アルゴリズムがSERPに作用する要因は次のようなものです。

Googleでは、クエリに対し関連性や品質の高い情報を検索結果に表示するために、厳正にプロセスを整備し、検索アルゴリズムに日々改良を加えながら調整をしています。
世界各国の検索品質評価者は、Googleが定義している検索品質評価ガイドラインに準拠し、評価をしています。検索品質評価ガイドラインは一般公開されており、不定期に内容が更新されています。
Googleはユーザー第一主義で考えているので、ユーザーの評価の向上を目指して、適切な検索結果を返すための仕組みを作り上げようとしています。なので、Googleはユーザーの評価を基準にアルゴリズムを改善します。

上図のように、ユーザーが『webサイト(ウェブページ)』および『Googleの検索エンジン』の2つを利用し、評価するので、Googleはその2つの評価を基準に検索アルゴリズムを変更しています。
言い換えると、クエリに対する検索順位の決定プロセスは、「クエリ」を起点とし、「ユーザーのWEBサイトや検索結果への評価」までを含んで、最終的な検索結果を決定しています。
【クエリに対する検索順位の決定プロセス】
1. 検索キーワードを分析する
2. 検索キーワードを照合する
3. ページの有益性を評価する
4. 最適な検索結果を返す
5. ユーザー行動の背景を考慮する
検索順位の決定プロセスは上記の5段階で表されます。詳細を見ていきましょう。
検索アルゴリズムの決定プロセス(1~2段階目 / 全5段階)
【1】検索キーワードを分析する
クエリに対し、最適な回答を検索結果に表示させるために、Googleでは検索内容からユーザーの検索意図を推測します。クエリに含まれる単語の意味を分析し、検索インデックスに登録されている情報の中から、関連性の高い情報が含まれているページを探します。
【2】検索キーワードを照合する
次に、クエリにマッチする情報が含まれるウェブページを探し出します。検索アルゴリズムは、そのキーワードの登場頻度やページ上のタイトルや見出し、本文中のテキストなどを分析し、検索インデックス内から適切なウェブページを見つけます。
さらに、検索アルゴリズムは検索キーワードの照合に加えて、クエリに関連する画像や動画などのコンテンツがそのページに含まれているかどうかを分析し、ユーザーが使用する言語にマッチしたウェブページを優先します。
「犬」で検索する場合、必要なのは「犬」という単語が何百回も出現するページではありません。それを踏まえて、検索アルゴリズムでは、「犬」というキーワード以外で関連性の高いコンテンツ(犬の画像や動画、犬種のリストなど)がページに含まれているかどうかを評価しています。
ランキング結果 – Google 検索の仕組み
検索アルゴリズムの手順の詳細について(3~5段階目 / 全5段階)
【3】ページの有益性を評価する
検索クエリによっては、関連するウェブページの数が膨大なケースがあります。その為、検索エンジンは検索クエリに対して関連性だけでなく、ウェブページの有用性を評価するためのアルゴリズムを作成しています。その指標の一部が以下です。
・ウェブページの新しさ
・検索キーワードの出現回数
・ユーザーエクスペリエンスの質(ウェブページの閲覧のしやさなど)
・情報の信頼性や権威性
・著名なウェブサイトからのリンク etc
【4】最適な検索結果を返す
次に、検索結果に表示するすべての情報に整合性があるかどうかを評価します。検索結果に共通して含まれる話題は1つだけか、あるいは複数あるのか、多数の情報が特定の解釈に偏っていないか、といったことを確認します。
【5】ユーザー行動の背景を考慮する
Googleでは、過去の検索履歴や検索設定などの情報、ユーザーの位置情報などを基にして文脈を考慮します。
たとえば、シカゴに住んでいるユーザーが「football」で検索すると、ほとんどの場合、アメリカン フットボールやシカゴベアーズに関する検索結果が最初に表示されます。一方、ロンドンにいるユーザーが「football」で検索した場合は、サッカーやプレミアリーグに関係のある検索結果が表示されます。
ランキング結果 – Google 検索の仕組み
便利な検索サービスで利便性をアップ
ラリーペイジはかつて、「完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致する答えを返すものである」と述べたことがあります。Googleが実施しているテストでは、ユーザーが質問に対する答えをすぐに手に入れたいと考えていることが、長年にわたり一貫して示されています。
Google 検索の仕組み | 便利な検索サービス
完璧な検索エンジンの実現のために、Googleは検索キーワードに対して関連性の高いウェブページを検索結果に表示するだけでなく、リザルトブロックと呼ばれる検索キーワードに関する具体的な情報をウェブページ以外の形で検索結果に表示する取り組みをしています。
以下のような便利な機能が多く存在します。
【リザルトブロックの例】
・ナレッジグラフからの回答
・ルートと交通状況
・回答を直接提供
・強調スニペット
・リッチリスト
・尋ねる前に情報が手に入る
ナレッジグラフからの回答
2012年に導入されたナレッジグラフは、検索キーワードに関する情報を検索結果にまとめて表示する機能のことです。リンクをクリックすることでウェブ上の詳しい情報にアクセスできます。
【表示例】

ルートと交通状況
GoogleMap(地図機能)は、交通状況をリアルタイムに把握し、特定の住所とそこに行くための道順を簡単に調べられます。検索結果上で情報を知ることができます。
【表示例】

回答を直接提供
直接的な回答が必要な場合に対し、すぐに役立つ回答を提供するために、企業と連携して、検索結果ページに直接コンテンツを掲載できるようにしています。これにより、検索ユーザーはサイトを訪れる手前の段階で回答を受けることができます。
【表示例】

強調スニペット
ユーザーが検索したキーワードに関連があるとアルゴリズムが判断したサイトのコンテンツから、テキストを抽出し、検索結果に明確な回答がダイレクトに表示されます。強調スニペットに表示し、目立たせることで、ユーザーはすぐに回答を見つけられるようになります。
【表示例】

リッチリスト
ユーザーの質問に対して、複数の画像で回答を表示します。検索キーワードに対し、回答は必ずしも1つとは限らないため、複数の回答が出た場合はウェブ上の情報とナレッジグラフを組み合わせることで複数の画像を検索結果に一覧表示します。
【表示例】

尋ねる前に情報が手に入る
スマートフォン向けのGoogleアプリやサービスでは、ユーザーが検索する前から天気やエンターテインメント、スポーツなどの情報がすぐに手に入るように、ホーム画面に便利な情報のフィードやショートカットを表示しています。
Googleは、ユーザーが知りたがっているであろう情報を予測し、ユーザーが検索という行動を起こす前に回答を提供するよう努めてます。
Googleが順位を決定する仕組みまとめ

図の「評価(①~②)」が、検索順位の決定を行うポイントです。
この2つのポイントに対応するためにSEOを行う際に習得すべき知識は以下の2つです。
1. ユーザー行動とそれを左右するWEBの動向に関するマーケティングの知識
2. SEOの各ガイドラインで示す技術要件やGoogleの方針についての知識
この2つを常に習得しアップデートし続けることで、Googleの動きを先取りすることができます。
技術要件は満たしているのにSEOで上がらないときは、Googleとユーザーの双方の意図と外れたクエリじゃないか確認しましょう。
SEO対策の基本2:Googleのアルゴリズムは常にユーザーファースト
これまで、Googleの方針についての解説を行いましたが、最も重要である「ユーザー第一主義」とは一体どういうことか?を解説します。

上記の図は「Google」「メディア」「トレンド」の3つのカテゴライズで別れています。通常、SEOを行うWEBマスターは、自分の領域である「メディア」に最も注力しています。
その次に注力しがちなのが「Google」からの読込や評価です。
Googleの検索アルゴリズム自体が非常に多くの技術要件から成り立つため、Googleの品質ガイドラインを満たすための取り組みが主軸となってしまいます。その状態ですと、「Google」と見てる対象が異なるため、アルゴリズムに翻弄されてしまいます。
最大のポイントは『「Googleが見ているもの」と同じものを見る』ということです。
それはユーザーであったり、ユーザーの行動を決めるトレンドなどの市場を指します。
注目すべきはアルゴリズムではなく、ユーザー
ユーザーの存在を考えずに、Googleのアルゴリズムの変動だけに対応した場合、以下のような対応になります。

・ページ表示速度は低くない方がいい
・モバイルフレンドリーテストでハイスコアを出せばいい
という視点で改善を進めてしまいます。
実際に原理原則に従った施策の表現は以下のようになります。

・表示速度が遅いとユーザビリティを損なうため、ユーザーにとって適切でない
・モバイルフレンドリーでないと、モバイルでの検索体験が向上しない
このような対応の違いは注目する対象が「Googleの対応」か「ユーザーの変化」かの違いにあります。
本来あるべきSEO(=SXO)とは
ユーザーへの注目の方法について、どのように考えるのが最も原理原則に従った考え方になるのでしょうか?
Googleの大御所で以前有名だったマット・カッツ氏は2012年11月に公開したYouTubeで初めて「Search Experience Optimization(=SXO)」(検索体験の最適化)という表現を「Search Engine Optimizmation(=SEO)」の代替表現として使用しました。
これは、端的に「アルゴリズムの傾向からSEOを行うのではなく、ユーザーの検索体験を向上するためにマーケティング自体をSEOの主軸に据えていこう」という問題提起です。
なので、以下のように着眼点で施策の方針を決めるのが定石です。

このように深堀と横展開を繰り返すと、ユーザーにとって価値の高いサイトが自ずと完成し、それはGoogleのアルゴリズムにも対応します。
Googleはユーザーをこのように見ている
4の図で「ユーザー」を「トレンド」に括っていますが、理由があります。
Googleはアルゴリズムの変更を、「膨大なテスト」→「実際のユーザーの0.1%に対してプレリリース」→「データ上効果があると見られたら実装」という流れで行っています。
マーケットの変遷というのは、イノベーター理論(エベレット・M・ロジャースが提唱)で説明すると以下のようになります。

Googleが主体となり、トレンドの変化を生み出すことがありますが、原則としてテスト運用のデータを重視するため、基本的には「多くの人に受け入れられやすい」状況で本格的な実装を行います。
そのため、検索エンジンの動きを予見するには、上図をふまえながら以下を意識します。
Googleがもっと便利になるとしたら、それはどのように発展するだろうか?
▼
その内容をユーザーは受け入れるだろうか?
▼
受け入れる場合、どのくらいのユーザーが受け入れるだろうか?
マーケティングから見るGoogleのアップデート例 (1)
「ホテル+地名」で検索したときに以下のような検索表示結果が表示されます。

この機能がGoogleで試験運用されたのは2010年頃です。
このようなメタ検索エンジン的なサービスは、2005年にはindeedやトリバゴなどの会社が設立され提供されていました。なので2010年にはユーザーが複数社のサービスを同じ画面で同時に閲覧したい欲求はマーケットとして顕在化していたと考えられます。
Googleでは2010年以降、試験運用を経て日本のGoogle検索でも実装されました。
マーケティングから見るGoogleのアップデート例(2)
上図を見ると、2012年に国内のスマートフォンの利用率は60%を超えています。
このようなトレンドを受けて、Googleでは2015年にモバイルフレンドリーアップデートを行いました。その後MFI(モバイル ファースト インデックス)やスピードアップデート(表示速度が遅いサイトの評価を下げる)などのアップデートや告知が相次ぎました。
実際、ほとんどのマーケターが、2012年~2013年には察知できたトレンドでした。このようにユーザーの変化をSEOの施策に生かせば、アップデートが起きる度に慌てふためく事は少なくなります。
Googleのスタンス
・ユーザーはトレンドによって、ライフスタイルや検索意図を変えます。
・Googleはユーザーを最優先にします。WEBサイトはあくまで要素の1つで、ユーザーの検索エンジンに対する評価を最も気にしています。そのため、ユーザーの評価を知るためにテストを行い、ポジティブな反応が得られたら、広範囲でのアルゴリズムのアップデートを行います。
・Googleはガイドラインを制定し、専門家に評価を依頼しています。
まとめ
今回はGoogleの考え方や目指す未来について解説しました。
Googleは常にユーザーにとって利用価値が高い検索エンジンであることを目指しています。
SEO対策をおこなう際もGoogleと同様に、ユーザーにとって利用価値の高いサイトを目指すことで、必然的に検索順位は上がっていきます。
Google検索エンジンをハックするような手法で順位を上げても、一時的な結果になるためGoogleの考えを理解してユーザーファーストなサイトを作りましょう。